コンクリートひび割れガイド

ひび割れの原因

ひび割れの原因

コンクリートのひび割れは、「ミクロなひび割れ」といって、
目視できない微細ひび割れもあります。

 

ですが、通常「ひび割れ」と呼ばれているのは、
目視できるひび割れで「マクロひび割れ」というものです。

 

ひび割れは、微細ひび割れが、何らかの原因によって進展したものと考えられます。

 

では、ひび割れが生じる原因には、
どのようなものがあるのでしょうか。

 

ひび割れは、コンクリートの骨材や乾燥収縮、
温度等のコンクリート特有の性質によって生じる自己ひずみひび割れ、
外部から建築物の重量や地震力などによる荷重を受けてることによって生じる
構造ひび割れに分けられます。

 

(1) 自己ひずみひび割れ

 

@ 沈みひび割れ

 

レディミクスコンクリートを鉄筋が組み込まれた型枠の中に打ち込むと、
ドロドロ状態のセメントペースト中の骨材は重いので、
下へ沈みます。

 

そのとき、鉄筋の直上部のコンクリートは鉄筋によって沈下が抑えられるので、
コンクリート表面部では、段差が生じ、
鉄筋の上部のコンクリートに引張力が作用します。

 

コンクリートの硬化直後では、
コンクリートの引張強度も十分に発現されないので、
鉄筋に沿ってひび割れが発生します。

 

このようにできるひび割れを「沈みひび割れ」、「沈降ひび割れ」と呼びます。

 

A 乾燥収縮ひび割れ

 

コンクリートの打設後、時間の経過と共にコンクリート中の水は
乾燥によって蒸発します。

 

すると、コンクリートの体積は減少し、
結果として収縮します。

 

これが、コンクリートの乾燥収縮と呼ばれているもので、
乾燥によって毛細管空隙(元来は練り混ぜ水で占められていた空間において、
セメントと水によって化学反応が起きた後も水和物で閉められなかった空隙のこと)
の中にある水が蒸発し、これに伴って毛細管張力が増大するために収縮がおきるものです。

 

この乾燥収縮は、コンクリートが自由に変形できる状態にあるときは、
コンクリートにひび割れを起こしません。

 

しかし、コンクリート構造物のように、
鉄筋や柱、梁、壁などの部材によって乾燥収縮が拘束される、
つまり、コンクリートの縮みが起きないように抑えられると、
コンクリートには引張力が生じます。

 

この引張力がコンクリートの引張強度を超過すると、
ひび割れが発生します。

 

このひび割れが、乾燥収縮ひび割れです。

 

乾燥収縮は、コンクリート床や屋根スラブ、コンクリート壁のように薄く、
面積が広い構造物では大きく発言し、
乾燥ひび割れが発生しやすくなります。

 

スパンの大きなコンクリート構造物でも端部をコンクリート壁のように
剛性の高い構造物で拘束されると、
乾燥収縮ひび割れが大きくなります。

 

乾燥収縮ひび割れは、コンクリートのひび割れ発生の中でも
最も頻度の多いひび割れです。

 

この乾燥収縮ひび割れを防止するためには、水分量やセメント量を減少させたり、
収縮量に対応した膨張性のある混和剤を混ぜる方法があります。

 

また、壁のように広い面正規を持つ構造物では、
コンクリートの表面に誘発目地を設け、
コンクリート表面の収縮を緩和する事によって、
ひび割れを抑える工法も適用されるようになっています。

 

B 温度ひび割れ

 

レディミクストコンクリートが硬化する際、
セメントと水が水和反応を起こします。

 

この反応によって、水和熱が発生し、コンクリートの温度が上昇します。

 

このときの温度は、断熱状態における温度と呼ばれますが、
コンクリートの温度上昇の後、
温度が下降するときに生じるコンクリートの収縮が拘束されると、
コンクリート内に引張応力が発生します。

 

また、コンクリート断面内に不均一な温度分布が形成されることにより、
コンクリートの温度差によって引張応力が発生します。

 

このように温度の差によって生じた引張応力が、
コンクリートの引張強度を超過すると、ひび割れが発生します。

 

このひび割れを「温度ひび割れ」と呼びます。

 

温度ひび割れは、コンクリート部材の断面寸法や拘束度が大きければ大きいほど
頻回に発生するようになります。

 

特に暑い時期の工事には注意が必要です。

 

温度ひび割れは、気温が最も高い期間中にコンクリートの打設が行なわれ、
工期短縮のため、型枠の脱型も早期に行なわれる等すると、
水和熱を生じる後打ちコンクリートと既存コンクリートの間に温度差が生じ、
コンクリート硬化中にその影響を受けます。

 

同時に、鉄筋の拘束により、後打ちコンクリートにおいては大きな引張応力度が作用します。

 

この引張応力度がコンクリートのひび割れ強度を超過するために
温度ひび割れが発生します。

 

温度ひび割れを防止するためには、
コンクリート型枠の脱型を一週間以上かけて行うことが必要です。

 

C 凍結融解ひび割れ

 

レディミクストコンクリートの中の水には、
アルカリ成分が多少溶解して含まれています。

 

ですから氷点が降下し、マイナス5℃くらいになると凍結が始まり、
セメントと水との水和反応が殆ど行なわれなくなります。

 

ですから、寒冷地では、打設されるコンクリートが、
気温マイナス5℃以下になると凍結が起こり、
降下コンクリートの中の水は凍りになり、
その体積は1.09倍にもなってしまいます。

 

しかし、気温がマイナス5℃以上の陽気になると凍りは溶解し、
未硬化部分のセメントと水による水和反応が進行してしまい、
コンクリートは乾燥収縮の状態になります。

 

このような凍結と融解が繰り返して起これば、
膨張と収縮も繰り返し起こり、
コンクリートの硬化体に、徐々にひび割れを発生させることになります。

 

このような仕組みで起こるひび割れが、「凍結融解ひび割れ」です。

 

十分に硬化が進行したコンクリートは、
水セメント比が小さいと凍結融解に対する抵抗性が大きくなることが分かっています。

 

ですが、寒冷地では、気温がマイナス5℃以上になる条件が待てないため、
AE剤という混和剤を使用し、コンクリート中に空気を連行し、
生じる気泡が水の凍結による膨張を受け止め軽減するように改善しています。

 

AE剤とは、「空気連行剤」とも呼ばれている薬剤で、
コンクリートを練り混ぜる際にコンクリート中に含まれる微細な気泡を連行し、
施工性や耐久性を向上させるために使用される混和剤のことです。

 

AE剤により、コンクリート中に出来た多数の気泡が短い間隔で分布すると、
水の凍結による膨張圧を緩和することができるのです。